裏面照射型CMOS
「デジカメプリント 写真のフロンティア」店長・加藤です。
裏面照射形CMOSとは、従来のCMOS(表面照射型)とフォトダイオードと配線の位置をひっくり返した構造になっています。
表面照射型では光を受け取る受光面であるフォトダイオードの前に配線が有って、入射光を遮る形状になっています。
配線を裏側に持っていき入射光を効率よく受光面(フォトダイオード)に導こうとして作られたのが裏面照射型CMOSになります。
ソニーの裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R」が今年のカメラ記者クラブ賞に選ばれましたが、この裏面照射型CMOSが各カメラメーカーの撮像素子に次々に搭載されています。
配線に遮られることなく入射光をフォトダイオードに取り込めるため、より高感度やダイナミックレンジの拡張が期待出来ます。
今までの表面照射型CMOSと比べ半導体ウエハーを薄く(表面照射型の約100マイクロメートルに対し裏面照射型では3~4マイクロメートル)作る必要があるだけでなく、
裏表両面とも非常に高い精度でフラット(平ら)に仕上げなければなりません。
このことが技術的に困難であって今まで実現出来ませんでしたが、この程ようやく市販のデジタルカメラに採用されるようになってきました。
CCDに比べて消費電力が少ない、また信号を高速に読み出せる等の長所を持ったCMOSですが、受光効率だけは負けていました。
それが裏面照射型になって受光効率がCCD並みになり、ほぼ全ての面でCMOSが優れた撮像素子となりました。
裏面照射型CMOSを採用したデジタルカメラは今後増えていくのでしょうが、すぐに全ての機種に搭載されることはない様子です。
先ずは裏面照射型にするとコストがかかってしまい、廉価版のデジタルカメラでは従来型ののCMOSやCCDが今後しばらくは使われていくでしょう。
また、現在発売されている裏面照射型CMOSを搭載した機種はどれも1/2.3、1/2.4型ばかりで、高級コンパクト機に搭載されている大型とされる1/1.7型はまだ存在していません。
やはりコストがネックとなっているのでしょうが、やがては1/1.7型の裏面照射型CMOSを使ったカメラが出てくるでしょう。パナソニック(LUMIX DMC-LX5)やキャノン(PowerShot S95 )が発売されたばかりですが、次に期待大です。
デジタル一眼カメラには裏面照射型CMOSは向かない?
そして気になるのが一眼レフ機にも裏面照射型CMOSが搭載されるのか?
ということになりますが、APS‐Cや35㎜フルサイズのCMOSが裏面照射になってもセンサーが大型であるため、配線が入射光を遮断することによる影響は少なくてコンパクト機ほどの効果はないみたいです。
よってフォーサーズ・マイクロフォーサーズも含めた大型撮像素子に裏面照射型CMOSが登場する可能性は少ないと思います。
追記(2014年):信号が速く読み出せることから動画撮影にも裏面照射型CMOSは向いています。おかげでフルHD画質で撮影出来るコンパクトデジカメが増えてきました。